翔子は無駄死にか?

自分の感想を書いた後、キーワードを辿って他の方がどう考えたのかを読むのも一つの楽しみでした。
その中で多数見られる「翔子は犬死」。
本当にそうだったか、全体を見据えつつ自分の意見を書いていきたいと思います。


上にも書いたとおり、カノンはポスト翔子。
翔子の立ち位置はカノンに譲られました。
つまりカノンが竜宮島にいるために翔子というキャラは必要だったんです。


「私達は戦うために生まれた。だから最後は自分の為に戦いたいの。行かせて」
「あなたの、本当の子供じゃないんだから」
自分の意思で戦いに行った翔子。
「あなたは、そこにいますか?」「以前はいたが、今はいない」
それに対して自分の意思ではなく軍務として戦うカノン。


一騎に説得され、初めて自分の意思でフェンリルを止め、
竜宮島に迎えられ、羽佐間家の養女として新しい生活が始まります。

竜宮島での生活はカノンにとって、とっくに失われた家族、故郷、自由意志が、
突然もう一度与えられる結果になったので、
その戸惑いが今後どう解消されていくか……。
(竜宮島回覧板)


「命令がないと、何をしたらいいのか困る」
「いっぱい困りなさい。それが私からの、たった一つの命令よ」
失った自由意志*1を取り戻させようとする容子。


一方目覚めた甲洋。墓を前にしても翔子の死が受け入れられないのか。
(「俺はお前のように仲間を見捨てたりしない」と一騎を責める裏には
「そうすることで翔子は生き返るんだ」という考えが見えます*2 )
そこに甲洋から羽佐間家に預けられたショコラと羽佐間家に来たカノン登場。
「あなた(翔子)はそこにいますか?」「以前はいたが、今はいない」
羽佐間家の娘として、翔子として答えるカノン。


「この島では、誰も死んだ人を忘れないんだな」
暖かい竜宮島。その一員になりたい。「みなと同じになりたい」。
こうして因子注入へと繋がっていきます。


「帰ってきたら、母さんと呼んでいいか」。
「あなたの本当の子供じゃないんだから」、と容子を離れた翔子の台詞と対応します。
こうして、カノンは「羽佐間家の娘」になりました。


「あなたの帰る場所を、私は守っています」という、翔子の約束。
「あなたは、そこにいますか?」「以前はいなかったが、今はいる!」
竜宮島の住人として。羽佐間家の娘として。
帰る場所を守るために、戦っている。「そこにいる」。


中盤以降の中心人物の一人の、カノンを語る上で、翔子は外せない。
だから翔子の死は意味のあるものだった。
そう考えています。

*1:揚げ足:自由意「思」じゃないか?

*2:妄想かも